候補者と無関係のポスター、有料サイトに誘導のQRコード…東京都知事選挙で苦情殺到

20日告示された東京都知事選(7月7日投開票)の選挙ポスター掲示板を巡り、混乱が広がっている。候補者と無関係なポスターが大量に貼られたり、QRコードで有料サイトに誘導するポスターが掲示されたりしているからだ。都選挙管理委員会には苦情が殺到し、有権者からは「子供に見せたくない」「法律で規制できないのか」と批判の声が上がった。

東京・表参道の住宅街。子供たちが歩く脇の選挙ポスター掲示板には、若い男性の写真が入った風俗営業の宣伝広告のようなポスターが24枚、貼られていた。

 写真の男性は候補者ではない。ポスターは、政治団体「NHKから国民を守る党」に関連する24人の候補者の枠に貼られていた。通りかかった日野市の主婦(42)は「とても不快。自分の子供に見せたくないから、すぐにはがしてほしい」と憤った。

 中野区役所前の掲示板には、若い女性の顔写真を大きく印刷した24枚のポスターが並ぶ。別々に違う女性が載っているが、全員都知事選に立候補していない。

 候補を擁立しているNHK党の関連団体のポスターで、印刷されたQRコードを読み込むと、選挙とは無関係の有料SNSを紹介するページに誘導される。この団体の女性候補は取材に、「有料SNSの運営会社が知事選の供託金(300万円)を支払ってくれた」とし、誘導先のSNS上で選挙活動を行うことはないと明言した。

 都内の60歳代の男性は「選挙で商売をするのは良くない」と顔をしかめ、大田区の会社員女性(51)は「ふざけたポスターを貼るなんて、税金の無駄遣いだ」と吐き捨てた。

 今回の都知事選で、NHK党は関連団体を含め、24人を擁立した。「掲示板をジャックして、あなたのビジネスを広げるチャンス」と呼びかけ、寄付した人に対し、都内約1万4000か所にある掲示板のうち、1か所を選んで、自作のポスターを貼る権利を譲っている。

 立花孝志党首は21日の定例記者会見で、選挙と関係のないポスターを掲示しているとの指摘に対し、「問題だと判断すれば対応するが、選挙期間中は掲示を続ける」との考えを示した。